前回、デトックスに関する重要な臓器に肝臓と腸を挙げました。それぞれをもう少し詳しく見てみましょう。

★体内の解毒作用のすべてを担っている肝臓
　肝機能を促進する食材として、栄養素の代謝をアップするビタミンB群、活性酸素からの害を抑制するビタミンA・C・E（エース）、そして毒物を排出しやすくするアブラナ科とユリ科の食材を挙げました。
　アブラナ科の野菜にはイソチオシオネートという機能性成分が含まれています。大根などをすりおろしたり切ったりすると細胞が破壊されて生成され、毒素を細胞から取り除き水溶性に導く働きをしていると言われています。毒素を汗や尿として排出しやすくして肝臓の解毒作用を促す働きです。強力な抗酸化作用もあるので様々な効能が知られています。（写真①）
　ユリ科の野菜のニンニクにはアリシンという機能性成分が含まれています。生の食材の状態ではアリインという前駆体ですが、切る・つぶす・加熱調理などによってアリシンという形になり肝臓に蓄積された毒素を排出し調整してくれる働きがあると言われています。その他にも血行を促進し血管を拡張してくれる働きもあると言われ、体内の巡りが良くなるので特に疲労回復に効能があるようです。（写真②）

★腸内環境を整えて、毒素の排出をサポート
　毒素の排出の75％は便からと言われており、腸内環境を整えることは大切です。それには、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維どちらも必要だと言いましたが、食物繊維は野菜や果物だけでなく海藻や穀類にもたくさん含まれます。これらはプレバイオティクスと呼ばれ善玉菌のエサになるものです。オリゴ糖を含むゴボウやタマネギ、バナナやリンゴなどもプレバイオティクスの仲間です。（表①）
　一方、プロバイオティクスと呼ばれる腸内に必要な乳酸菌やビフィズス菌を直接入れることができる食材もあります。ヨーグルトや乳酸菌飲料、そして発酵食品と言われる納豆、キムチ、ぬか漬けなどの漬物、また広くは味噌や醤油、麹などの発酵調味料も入ります。（写真③④⑤⑥）植物性乳酸菌は野菜や果物などの表面にも存在し、加熱に強く胃酸や胆汁酸に耐え腸まで届くなど、プロバイオティクスとして有効的に働いてくれます。植物性乳酸菌は1992年京都のすぐきの漬物から発見され、まだ歴史の浅い乳酸菌ですが腸内環境にとっては動物性の食材より強い味方になってくれそうです。

★スパイスでデトックス！毒出し＆脂肪燃焼
　スパイス（香辛料）にも燃焼系スパイスなどと呼ばれる代謝を活性化する力が強いスパイスがあります。もとは「生薬」として使われてきた歴史が長く、東洋でも内臓の活性化を目的とした薬膳料理などに多く使われ、毒出しや脂肪燃焼を促進すると言われています。日本の香辛料と言えばショウガ、山椒、唐辛子、ワサビ、ニンニクなどですが世界には350〜500種あるといいます。スパイスと言えばインド料理の代表カレーですね。20〜30種類のスパイスで配合され、それぞれ香りや辛味、色味などの役割をもっています。どんなカレーにも必ず入るスパイスをいくつかご紹介します。
　ターメリックはウコンの一種で肝臓に働きかけ、胆汁の分泌を促し脂肪や老廃物を排出し体を温める効果もあります。唐辛子にはカプサイシンという成分があり、脂肪を分解して熱を発生させる褐色細胞に働きかけ代謝をアップし、消化液の分泌も促します。コリアンダーとクミンはどちらも便通を促し体内毒素を排出する働きがあるといわれ、古来より健胃薬や解毒剤として用いられていたそうです。カレーに含まれる多種のスパイスにはガン予防、抗血栓作用、免疫増強作用、そして抗酸化作用と様々な効能があり、スパイスを使うことで減塩にもなりご飯との相性も抜群です。スパイスを使ってじっくりカレーを作りたくなりますね。（写真⑦）

　このようにデトックスの観点から見ると野菜や果物、スパイスなどの植物性食品の力が大きいことがわかります。調理法も考えてみると生の野菜サラダだけではなく、炒めたり煮物にしたり鍋物にしたりすると野菜のカサが減って摂取量も多くなりますし、種類も多く食べられます。残念なことに近年の野菜は以前と比較して栄養素は減ってきています。（グラフ①）生産者さんも頑張っていらっしゃいますが、私達も努めて野菜をたくさん食べることを忘れないように心がけましょう。