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2023年6月号
File:202
実は最強!?ヨモギの力
先日、長野の北部に休暇に行った友人が、私が草餅(よもぎ餅)を大好きだということを思い出し、里山でヨモギの若葉を沢山摘んできてくれました。実物を見るのは数十年ぶりです。草餅を作ってくれた祖母を思い出しながら、今回はヨモギをもう一度探ってみようと思います。
★ヨモギとは
ヨモギは日本人にとってとても身近な植物ですが、近年は草餅を手作りする人も少なくなり、雑草のような視点で見られているかもしれませんね。植物図鑑にも「本州・四国・九州の山野に最も普通な多年草」と書かれているように、条件さえ合えばしっかり根を張って地下茎で増殖します。ヨモギにはアレロパシー(注)と呼ばれる化学物質を発生させ、他の植物の発芽を抑制する力を持っていますので、密生して生育することができるそうです。
★様々な料理に使われるヨモギ
キク科ヨモギ属ですので、葉は菊の葉っぱにとてもよく似ていますね。(写真①)柔らかい若葉でしたらそのまま天麩羅や汁の具材に、沖縄ではフーチバーと呼ばれて炊き込みご飯や雑炊、臭み取りにヒージャー汁(ヤギ汁)に入れて利用されています。生の葉が手に入ったら、柔らかい葉の部分だけ摘み取り、アクがあるので茹でこぼすときに重曹を少し入れ、茹でたら水に1時間ほど浸しておきます。水を切ってフードプロセッサーなどでペーストにして冷凍保存しておくと便利です。(写真②)
★ヨモギは万能の生薬
葉の裏には白い細かい毛が密集していて、餅にする時は粘りを出す役目があるそうです。また、お灸の時に使うモグサ(艾)はこの毛を利用したもので、葉をよく乾燥して細かく切り刻み、さらにミキサーやすり鉢ですってゴミを取り除き、毛を集めるとモグサになります。韓国や日本でも人気がある「よもぎ蒸し」という民間療法がありますが、主にヨモギを中心に他の薬草も加えて加熱し、蒸気を下半身から浴びる温熱療法です。体の芯から温めて代謝を促しデトックスによる婦人科系の症状改善や美容効果が期待できます。このように薬草のような一面もあり、中国では古くから漢方薬「艾葉(がいよう)」として利用され、消炎や止血、下痢止め、解熱、咳止め、消化器系の改善などに効果的とされ、万能薬のように薬効が認められてきました。
★ヨモギは立派な緑黄色野菜
栄養価も優れていてビタミンやミネラル、食物繊維などバランスよく
含まれ野草としての力強さを感じます。表①を見ていただくとわかりますが立派な緑黄色野菜ですね。ホウレンソウやコマツナにも引けを取り
ません。特に食物繊維が豊富で、7.8g 中6.9gが不溶性食物繊維のため、腸内環境を整え便秘の解消や大腸がんの予防が期待されます。
β- カロテンは、強い抗酸化作用を持ち活性酸素の害から細胞や体の組織を守ってくれますので、広く生活習慣病の予防に効果的と言われています。また、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるので、目の働きや粘膜、皮膚の調子を整える役目もあり、感染症予防の観点からも緑黄色野菜は理想的な食材です。鉄分やビタミンKは血液に関係し、特に貧血気味の女性には必要な栄養素になります。ヨモギの濃い緑色の葉緑素はクロロフィルと呼ばれる天然色素ですが、近年の研究でコレステロール値の低下や消臭、抗菌など多岐にわたる機能性が明らかになってきました。
ヨモギには独特の香りがありますが、これはシネオールなどの精油成分で、リラックス効果とともに鼻や喉の呼吸器系の不調改善や神経の鎮静化に関わり、近年アレルギー疾患にも効果があると言われ、関心を呼んでいます。一見、雑草のようなヨモギですが古くから用いられてきた実力派ですね。
(注)アレロパシーとは、「他感作用」とも呼ばれ、植物が自ら分泌する化学物質が影響して、他の生物に何らかの作用を及ぼす事で、よくも悪くも条件が合えば影響を与える。セイタカアワダチソウ、ソバなども有名。
《参考文献》
・「旬の野菜の栄養事典」エクスナリッジ(2016)吉田企世子監修
・「旬の食材 春・夏の野菜」講談社(2004)講談社編
・真木文絵「やさい」幻冬舎エデュケーション(2011)
・「花図鑑 野菜」草土出版社(1996)内田正宏・芦沢正和監修
・「食材健康大事典」時事通信社(2005)五明紀春監修
・河野友美「コツと科学の調理事典 第3版」医歯薬出版(2001)大滝緑・奥田豊子編
《出典》
・旬の食材百科, 「ヨモギ(蓬/よもぎ)」
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/yomogi.htm(2023.5.22)
・公益財団法人 日本薬学会「生薬の花」
https://www.pharm.or.jp/flowers/post_29.html(2023.5.22)
・豆腐屋の青汁「ハーブ界最強!よもぎ(蓬)の力」
https://green.tofu-moritaya.com/2018/03/11/herbal-nutrition-mugwor/(2023.5.22)
・わかさの秘密「ヨモギ」https://himitsu.wakasa.jp/contents/mugwort/(2023.5.22)
・わかさの秘密「葉緑素(クロロフィル)」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/chlorophyl/(2023.5.22)
・旧植物生態研究室(波田研)「ヨモギ」
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledonea e/
sympetalae/compositae/yomogi/yomogi.htm(2023.5.22)
・メディカルハーブ事典「ヨモギの植物学と栽培」
https://www.medicalherb.or.jp/archives/229459(2023.5.22)
・ダイエット・健康増進・生活情報館「ヨモギの強い抗がん作用、健康効果とは」
http://yukoji.com/HealthyAlacarte/immune/jmugwort.html(2023.5. 22)
【よもぎのアフォガード】
よもぎのペーストに蜂蜜など甘みを加えてバニラアイスクリームにかけます。アイスクリームの味を変えると味の変化も楽しめます。
【焼きタケノコのよもぎ和え】
出汁醬油で味付けしたよもぎペーストを、オイル焼きにした柔らかい部分のタケノコに和えます。ゴマで香ばしさをプラス。
【全粒粉のよもぎパン】
残りご飯と全粒粉によもぎペーストを加えて、パンを焼いてみました。よもぎ色は残念ながら鮮明には出ませんでしたが、香りはしっかりシネオール。
★ヨモギとは
ヨモギは日本人にとってとても身近な植物ですが、近年は草餅を手作りする人も少なくなり、雑草のような視点で見られているかもしれませんね。植物図鑑にも「本州・四国・九州の山野に最も普通な多年草」と書かれているように、条件さえ合えばしっかり根を張って地下茎で増殖します。ヨモギにはアレロパシー(注)と呼ばれる化学物質を発生させ、他の植物の発芽を抑制する力を持っていますので、密生して生育することができるそうです。
★様々な料理に使われるヨモギ
キク科ヨモギ属ですので、葉は菊の葉っぱにとてもよく似ていますね。(写真①)柔らかい若葉でしたらそのまま天麩羅や汁の具材に、沖縄ではフーチバーと呼ばれて炊き込みご飯や雑炊、臭み取りにヒージャー汁(ヤギ汁)に入れて利用されています。生の葉が手に入ったら、柔らかい葉の部分だけ摘み取り、アクがあるので茹でこぼすときに重曹を少し入れ、茹でたら水に1時間ほど浸しておきます。水を切ってフードプロセッサーなどでペーストにして冷凍保存しておくと便利です。(写真②)
★ヨモギは万能の生薬
葉の裏には白い細かい毛が密集していて、餅にする時は粘りを出す役目があるそうです。また、お灸の時に使うモグサ(艾)はこの毛を利用したもので、葉をよく乾燥して細かく切り刻み、さらにミキサーやすり鉢ですってゴミを取り除き、毛を集めるとモグサになります。韓国や日本でも人気がある「よもぎ蒸し」という民間療法がありますが、主にヨモギを中心に他の薬草も加えて加熱し、蒸気を下半身から浴びる温熱療法です。体の芯から温めて代謝を促しデトックスによる婦人科系の症状改善や美容効果が期待できます。このように薬草のような一面もあり、中国では古くから漢方薬「艾葉(がいよう)」として利用され、消炎や止血、下痢止め、解熱、咳止め、消化器系の改善などに効果的とされ、万能薬のように薬効が認められてきました。
★ヨモギは立派な緑黄色野菜
栄養価も優れていてビタミンやミネラル、食物繊維などバランスよく
含まれ野草としての力強さを感じます。表①を見ていただくとわかりますが立派な緑黄色野菜ですね。ホウレンソウやコマツナにも引けを取り
ません。特に食物繊維が豊富で、7.8g 中6.9gが不溶性食物繊維のため、腸内環境を整え便秘の解消や大腸がんの予防が期待されます。
β- カロテンは、強い抗酸化作用を持ち活性酸素の害から細胞や体の組織を守ってくれますので、広く生活習慣病の予防に効果的と言われています。また、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるので、目の働きや粘膜、皮膚の調子を整える役目もあり、感染症予防の観点からも緑黄色野菜は理想的な食材です。鉄分やビタミンKは血液に関係し、特に貧血気味の女性には必要な栄養素になります。ヨモギの濃い緑色の葉緑素はクロロフィルと呼ばれる天然色素ですが、近年の研究でコレステロール値の低下や消臭、抗菌など多岐にわたる機能性が明らかになってきました。
ヨモギには独特の香りがありますが、これはシネオールなどの精油成分で、リラックス効果とともに鼻や喉の呼吸器系の不調改善や神経の鎮静化に関わり、近年アレルギー疾患にも効果があると言われ、関心を呼んでいます。一見、雑草のようなヨモギですが古くから用いられてきた実力派ですね。
(注)アレロパシーとは、「他感作用」とも呼ばれ、植物が自ら分泌する化学物質が影響して、他の生物に何らかの作用を及ぼす事で、よくも悪くも条件が合えば影響を与える。セイタカアワダチソウ、ソバなども有名。
《参考文献》
・「旬の野菜の栄養事典」エクスナリッジ(2016)吉田企世子監修
・「旬の食材 春・夏の野菜」講談社(2004)講談社編
・真木文絵「やさい」幻冬舎エデュケーション(2011)
・「花図鑑 野菜」草土出版社(1996)内田正宏・芦沢正和監修
・「食材健康大事典」時事通信社(2005)五明紀春監修
・河野友美「コツと科学の調理事典 第3版」医歯薬出版(2001)大滝緑・奥田豊子編
《出典》
・旬の食材百科, 「ヨモギ(蓬/よもぎ)」
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/yomogi.htm(2023.5.22)
・公益財団法人 日本薬学会「生薬の花」
https://www.pharm.or.jp/flowers/post_29.html(2023.5.22)
・豆腐屋の青汁「ハーブ界最強!よもぎ(蓬)の力」
https://green.tofu-moritaya.com/2018/03/11/herbal-nutrition-mugwor/(2023.5.22)
・わかさの秘密「ヨモギ」https://himitsu.wakasa.jp/contents/mugwort/(2023.5.22)
・わかさの秘密「葉緑素(クロロフィル)」
https://himitsu.wakasa.jp/contents/chlorophyl/(2023.5.22)
・旧植物生態研究室(波田研)「ヨモギ」
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledonea e/
sympetalae/compositae/yomogi/yomogi.htm(2023.5.22)
・メディカルハーブ事典「ヨモギの植物学と栽培」
https://www.medicalherb.or.jp/archives/229459(2023.5.22)
・ダイエット・健康増進・生活情報館「ヨモギの強い抗がん作用、健康効果とは」
http://yukoji.com/HealthyAlacarte/immune/jmugwort.html(2023.5. 22)
【よもぎのアフォガード】
よもぎのペーストに蜂蜜など甘みを加えてバニラアイスクリームにかけます。アイスクリームの味を変えると味の変化も楽しめます。
【焼きタケノコのよもぎ和え】
出汁醬油で味付けしたよもぎペーストを、オイル焼きにした柔らかい部分のタケノコに和えます。ゴマで香ばしさをプラス。
【全粒粉のよもぎパン】
残りご飯と全粒粉によもぎペーストを加えて、パンを焼いてみました。よもぎ色は残念ながら鮮明には出ませんでしたが、香りはしっかりシネオール。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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\#ならでわ 11月号発刊/
— 月刊ならでわ!@長崎県北・佐世保のグルメ情報誌 (@nyan_naradewa) November 1, 2024
表紙は“じげもん”グルメ★佐世保・県北のことがもっと好きになる5品が登場グルメや美容情報・年末に向けたおせち、ハウスメンテナンスなど内容盛りだくさんでお届けします #佐世保スイーツ #佐世保観光 #佐世保おでかけ
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