前回ご紹介した小麦について、さらに詳しく見ていきましょう。
★小麦は粒の硬さで用途が違う
小麦は、粒の硬さから「硬質小麦」「軟質小麦」に区別されます。小麦の細胞の中には、デンプンの粒が詰まっていて、その隙間をタンパク質やその他の物質が埋めています。
硬質小麦→デンプン粒と隙間物質が固く密着していて砕いて粒にしてもある程度固まったまま粗い粉になります。これを粉の「粒度が粗い」または「粒度が大きい」と言います。表面が粗いので水分をよく吸水するという特徴があります。また粒度が粗いほどグルテン(タンパク質)含有量が多いため、パンやピザ、餃子の皮などに使う強力粉や中華麺用の準強力粉の製造に使われます。
軟質小麦→粒の構造などは硬質小麦と変わらないのですが、軟質小麦のデンプン粒の表面には、物質同士がくっつくのを妨げる物質があり、デンプン粒と隙間物質は密着せずに詰まっています。ですから粉にするとデンプン粒はバラバラにきれいに分離され、粒が細かくなり水分をたくさん吸収できないという特徴があります。一般的には硬質よりタンパク質含有量は低いのですが、近年硬質小麦並みに高い品種も出てきたようです。ケーキやお菓子、天ぷら、お好み焼きなど幅広く利用されます。
(参考)近畿アグリハイテク「硬質小麦と軟質小麦」
★栄養価の高い全粒粉
栄養成分の比較表を見てください。(表①)「玄穀」とは粉にする前の未精製の表皮のついた状態をいい、米の玄米に当たります。輸入硬質玄穀を精製した強力粉と比較すると、タンパク質をはじめと全ての栄養素が減少しています。食物繊維やビタミンB1などは約4分の1です。パンを選ぶ時も全粒粉入りの方が栄養バランスの点で優れていると言えます。また、国産小麦の水溶性食物繊維の豊富さに驚きます。
★タンパク質豊富なオーツ麦
麦と名のつく穀類の代表的なものにオーツ麦があります。オートミールの原材料になります。原産地は中央アジアと言われていて紀元前から栽培され、もともとは家畜の肥料として栽培していたようですが、スコットランドやアイルランドなどで主食として食べられるようになったといいます。欧米では朝食にシリアルとして、ミルクなどでお粥のようになるまで5分程煮て、塩味や甘みをつけて食べるのが一般的です。ご存知のグラノーラはオーツ麦を基本として、他の穀物やナッツ、ドライフルーツなどを入れてありますので、自家製のグラノーラも作れそうですね。
オーツ麦の栄養価で特徴的なのはタンパク質が豊富な点です。植物性タンパク質なので体重制限を行うアスリートには人気があり、カルシウムや鉄なども豊富でバランスも良いと言えます。(表①)また、オーツ麦のみに含まれているという抗酸化作用に優れた「アベナンスラミド」という成分も発見されています。
★ライ麦パンは食事パンにおすすめ◎
ライ麦も世界的には重要な穀物で、標高の高いやせた土地でも丈夫に育つため古くからドイツをはじめヨーロッパ北部で栽培されています。ライ麦パンが有名ですね。(写真①)
パン自体が濃厚な風味ですのでディップやペースト、チーズや蜂蜜などを塗って食べるのが一般的です。栄養価の面では全粒粉のライ麦ですとビタミンB1や鉄、カルシウムも多く、健康効果に優れた水溶性食物繊維も豊富です。(表①)
日本人には、独特の風味や食感が嗜好に合わずあまり一般的ではありませんが、意外とどんな食材にも合いますので、食事パンとしてぜひお試しください。
【オートミール入りミネストローネスープ】
野菜などが柔らかくなってからオートミールを入れて5分ほど煮込みます。寒い季節の朝食や、受験生の夜食にもおすすめです。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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