現在、話題になっているワクチン接種。そこで重要なのは病原体をブロックできる抗体を作ることです。そのためにも、必要な栄養素はしっかり摂りましょう。前回紹介したビタミンB1は、ウイルスや病原体を攻撃する力を維持するために大切な栄養素です。今回は、その他の免疫力アップに役立つビタミンをご紹介していきます。

★免疫バランスを整えるビタミンD
　数年前から世界的に注目されているビタミンの1つがビタミンDです。骨の形成や再生の他に、体内に侵入したウイルスや病原体に対する過剰な反応を抑え、必要な免疫機能を促すという免疫バランスに関わっています。脂溶性ビタミンなので、油を使った加熱調理も大丈夫です。野菜では摂りにくく、魚やキノコに含まれます。

【ビタミンDを含む食材】
うなぎ　鮭　しらす　さば　卵黄　キクラゲ、シメジ　干しシイタケ　マイタケ

★防御の要！ビタミンA
ビタミンには他にも重要な働きを持つビタミンA・C・Eがあります。これらは、活性酸素の害から体を守る抗酸化作用が強い「ビタミンエース」と呼ばれている栄養素で、主に緑黄色野菜の中に多く含まれています。その中のビタミンAは全身を覆う皮膚や粘膜を強くし、ウイルスが真っ先に入ってくる第一段階でブロックしてくれます。野菜ではβ―カロテンという形で存在し、体内に入ると必要量だけビタミンAに変換されます。これも脂溶性ビタミンです。

【ビタミンAを含む食材】
鶏レバー　うなぎ　卵黄　モロヘイヤ　ニンジン、パセリ　ホウレンソウ　コマツナ　ニラ

★ストレスから守ってくれるビタミンC
ビタミンCは非常に壊れやすく、すぐに排泄されてしまう水溶性ビタミンです。さらに、様々なストレスに対抗するために、どんどん消耗されてしまいます。
ストレスは精神的なものに限らず、暑い、寒い、体調が悪い、どこか傷ついた、睡眠不足など、生体に不利な刺激の全てのことをいいます。「タバコを1本吸うと、ビタミンCが一日に必要な量の約1／4も使われる」のは有名な話ですね。ビタミンCが不足すると抗ストレスホルモンの生成にも関わるので、毎日こまめに摂取することが大切です。

【ビタミンCを含む食材】
ブロッコリー　赤ピーマン　キャベツ　ゴーヤ、キウイフルーツ　イチゴ　ベリー類　柿　柑橘類

★ビタミンEで体温アップ
ビタミンEも抗ストレスホルモン生成に関係すると同時に血流を良くして体温を上昇させます。体温が１℃下がると免疫力は30％も下がると言われ、風邪はもちろん花粉症などのアレルギー、ガンにも関わってきます。体の冷えは免疫にとって防がなければならない問題の一つです。体温を高く保つことで、免疫細胞であるNK細胞が活性化するとも言われています。（表１）

【ビタミンEを含む食材】
うなぎ　油脂　カボチャ　アボカド　ナッツ類

★免疫細胞が活性化するフィトケミカル
体を温めると言えば、ショウガ、ニンニク、トウガラシなどが有名ですが、これらの中にはフィトケミカル（ファイトケミカル）と呼ばれる機能性成分が含まれます。栄養にはなりませんが、抗酸化作用に優れていると同時に様々な効能がある事がわかっています。その数は1万種以上あると言われるほど沢山ありますが、免疫力アップに関係しているのがイオウ化合物のスルフォラファンやイソチオシアネート、食物繊維のβ―グルカン、香気成分のオイゲノールなどが挙げられます。フィトケミカルは熱にも強い事がわかっているので、具沢山のスープ、味噌汁、鍋物でも摂ることができます。

【免疫力アップのフィトケミカル】
スルフォラファン→ブロッコリー（特にスプラウト）キャベツ
イソチオシアネート→アブラナ科の野菜　
ワサビβ―グルカン→キノコ類
オイゲノール→バナナ

★腸内環境を整えることが大事！
前回お伝えした、免疫細胞が活躍するパイエル板は腸にあります。腸内環境を整えるのが大事だという事は言うまでもありませんね。乳酸菌やビフィズス菌を毎日摂り、腸内細菌を増やしてあげましょう。そのエサになる食物繊維やオリゴ糖なども忘れずに摂ってください。特に水溶性食物繊維が有効的に働いてくれます。味噌、納豆、キムチなどの漬け物や麹菌を使うなど発酵食品も心がけると腸内細菌のバランスも良くなりそうですね。

【腸内環境を整える食材】
菌を補う→ヨーグルト　納豆　味噌　チーズ　漬け物
水溶性食物繊維→ヤマイモ　オクラ　モロヘイヤ　アボカド　モズク　大麦

このように免疫力アップのためには、様々な面から必要な成分を摂らなくてはならない事がわかります。昨日は何を食べましたか？食卓はカラフルでしたか？美味しく楽しく食べる事もとても大切です。皆さんが元気にコロナ禍を乗り越えられることを願っております。