『フレイル(虚弱状態)の予防』①
★2020年の健康課題「フレイル予防」
戦後の食料難の時代から徐々に飽食の時代に移り、日本人の栄養の摂り方は大きく変化してきました。食糧難の時は、不足や欠乏しないために最低どれくらい食べなければならないのかが大事でしたが、近年では摂り過ぎ・食べ過ぎが心配され、生活習慣病の予防が注目されています。
5年毎に改定される「日本人の食事摂取基準」の2015年版は、生活習慣病の発症と予防に加え、重症化予防も考えられていました。そして、今年の2020年版は超高齢化社会の現状を踏まえ、特に高齢者の社会生活を、より質の高いものにするために「フレイル予防」が重要な健康課題として挙げられています。
★フレイル(虚弱状態)の早期発見で要介護状態を防ぐ
「フレイル」とは、英語の「Frailty(虚弱)」が語源となっています。健康な状態と要介護状態の中間に当たり、健康な時期と比較すると身体的機能や認知機能の低下が見れられる状態です。(図1)
2020年版「日本人の食事摂取基準」ではフレイル予防のために高齢者の年齢区分を変更し、前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者( 75歳以上)に分けています。(図2)現実的には75歳以上に設定された基準を証明するエビデンスは十分とは言えず、個人差も大きいことが注意事項として挙げられています。確かに、年齢を聞いて驚いてしまうほど、元気な方たちも沢山いらっしゃいますね。おそらく今後の研究で様々なデータ結果が発表されるでしょう。
★筋肉量の低下がフレイルの原因に…
フレイルの具体的な要因の一つとして、加齢などにより筋力が弱り筋肉量が低下している状態「サルコペニア」が挙げられます。サルコペニアはSarco(サルコ:筋肉)penia(ぺニア:喪失)が合体した造語です。
【筋肉量のセルフチェック】
サルコペニアは、「指輪っかテスト」(図3)という簡単な検査法により、自分でチェックすることができます。ふくらはぎの一番太い所を親指と人差し指で囲みます。輪の間に隙間ができる場合はサルコペニアの可能性があります。この状態になると活動量が減少したり、食が細くなったり、エネルギー不足と同時に低栄養を引き起こすことになります。これが慢性化してしまうと、「フレイルサイクル」の悪循環が出来上がります。(図4)
フレイルは身体的問題の他にも、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的な脆弱性をも含み、多面的な問題を抱えていることが多く、自立した生活が難しくなり要介護状態に入ってしまいます。フレイル状態に早めに気づき、適切な対応ができれば、要介護に至るのを防げると言われています。
★フレイルの診断基準
フレイルにはまだ統一された診断基準がないのですが、一般的には次のような基準を基に判定します。
1.体重減少(年間4.50.25%以上)
2.疲労感(何をするのも面倒だと週に3〜4日以上感じる)
3.歩行速度の低下
4.筋力低下(握力 男性26 未満 女性18未満)
5.身体活動の低下(軽い運動、スポーツ、体操など1週間に1度もしていない)
(参考)長寿科学振興財団
1〜2つ当てはまると予備軍、3つ以上はフレイル状態と判定しています。皆さんの身内の方にも目を向けてくださいね。明らかな身体の衰えはなくても、なんとなく元気がない、最近あまり外出していないなど心当たりがあったら要注意です。
フレイルが注目されているのは、適切な対策を行なうことで予防できるという側面があるからです。次回は、フレイルの予防対策を考えてみます。
※「日本人の食事摂取基準」とは
厚生労働省が、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的として制定したエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準です。これを基に学校給食や病院食、介護食など、様々な場面で献立作成などに利用されています。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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