毎日の食卓に欠かせない大豆ですが、加工された大豆食品を食べていることが多いと思います。中でも一番利用されるのは「豆腐」です。豆腐は、大豆を水に浸けて砕き加熱して搾った液体「豆乳」に、「にがり」などの凝固剤を加えて固めたものです。固め方により木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐、寄せ豆腐などの違いがあります。
その他、日常的に使用する味噌、醤油、大豆油など大豆の加工食品は山ほどあります。日本は大昔から常に大豆の恩恵を受けて暮らしているのですね。
★大豆と他の食材の栄養を比較してみましょう。(表①)
●タンパク質はエネルギー源になるPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)の一つで「アミノ酸」が集まったもの。構成する20種類のアミノ酸のうち9種類は体内合成できないため、食べ物から摂らなくてはなりません。それを「必須アミノ酸」といいます。
大豆のアミノ酸スコア(必須アミノ酸含有量を評価した数値)は100もあり(図①) 、豚肉やアジなど動物性食品に匹敵する良質なタンパク質を持っていることがわかります。しかも、その量は牛乳の約4倍です。「畑の肉」と呼ばれ、古くより植物性タンパク源として重宝されてきた理由がわかります。
●脂質もエネルギー源として大切な栄養素であり、細胞膜を構成する成分として欠かせませんし、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど様々な作用を持っています。必須脂肪酸のリノール酸やリノレン酸の供給源としても重要です。
●カリウムは、ナトリウムとバランスを取りながら体内の恒常性を維持する効果があります。血圧を下げる働きがあるという点で重要ですが、近年の日本人の摂取量は、特に若い世代での不足が顕著であると言われています。葉野菜など野菜には多く含まれるのですが、大豆はほうれん草に次ぐ含有量です。大豆の摂取が一助になると良いですね。
●マグネシウムは、ほとんど全ての生体反応や代謝反応に必要なミネラルで、カルシウムやリンと共に骨や歯の形成に必要な成分です。神経の興奮を鎮めて精神を安定させる働きも持っています。マグネシウムは、ご飯やパン、牛乳、肉類などにはあまり含まれていないため、豆類やナッツ類、海藻類などを心がけて食材に入れることは重要です。表中の食材では大豆はトップの含有量です。
●鉄は、血中で酸素を送るヘモグロビンの構成成分です。鉄分と言えばほうれん草のイメージが強いですが、大豆はほうれん草以上に含まれています。しかし、植物性の非ヘム鉄は体内吸収が良くないので、ビタミンCやタンパク質と共に摂取することで吸収率が上がります。鉄の供給源を特定の食品から摂るのではなく肉類、魚類、野菜類、豆類などと組み合わせて摂ることが重要です。
●食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、大豆の食物繊維はほとんどが不溶性です。大豆は丸ごと食べた方が良いと言われる理由の一つは、この豊富な食物繊維だと思われます。ほうれん草より勝っているのは驚きですね。糖質を避けるために穀類を少なくする場合のデメリットの一つは、食物繊維不足になることです。豆腐やおからは食物繊維を除いてしまっているのであまり摂れませんが、大豆を丸ごと食べられるメニューはおすすめです。丸ごと食べることで噛む回数が増え、早食いも避けられるので食べ過ぎも防ぐことができます。他にも、糖質の代謝を助けるビタミンB群が含まれるので、糖質を多く摂りがちな方は、大豆食品を一緒に摂る習慣をつけておくと良いと思います。また、イソフラボンやサポニン、ポリアミンなどの機能性も注目され、新たな健康効果がこれからも判明し続けることでしょう。
海外セレブの中には、1日1回分の主食を豆腐に置き換えている人もいるとか。大豆はこれまで以上に世界的に注目が集まっています。来る危機的な食糧不足は農作物だけでなく、牛や豚、鶏、魚など、養殖では限界があり、タンパク源不足になるのでは、と心配されています。大豆は幅広い地域で育ち、わずかな肥料で大量に栽培できるため、地球温暖化などの危機的状況を救う可能性を秘めている、と言っても過言ではないと言われています。皆さんの家庭でも未来を担う丸ごと大豆を常備菜にしてみませんか?
【黄大豆の浸し豆】
一晩水につけた黄大豆を30分程茹でて、一度沸かした昆布だしベースの浸し汁に半日ほど味をなじませる。お好みで鷹の爪を。
【豚肉の3色大豆の衣揚げ】
薄切り豚肉を生姜だれに漬け込み、炒った三色大豆(一色でもOK)をポリ袋内で叩いて砕き、小麦粉、卵、大豆を絡めて揚げる。
[参考文献]
農林水産省HP「大豆のまめ知識」「日本人と大豆」国立健康・栄養研究所HP「大豆製品の栄養価」不二製油株式会社HP「大豆の未来」公益財団法人 日本豆類協会HP「豆の主な栄養素」
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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