今や飲食店だけではなく家庭にもエスニック料理は何の違和感もなく受け入れられるようになりました。「和洋中」の料理に「エスニック」が入ってきたのは1980年代と言われています。エスニックの本来の意味は「民族的な」という意味なのでとても広い意味合いがありますが、日本でのエスニック料理といえばもっぱら東南アジアのホット&スパイシーな料理を指すことが多いですね。特にタイ料理とベトナム料理に人気が集まっています。これら東南アジアの料理は、タイ料理のナンプラーなどの調味料やトウガラシ、ココナッツミルクを使用すること、またハーブやスパイスを多用するのが特徴的です。現地ではほとんど生で使用されます。日本では乾燥したものを使うことが多かったのですが、近年では生の食材も売られています。日本国内でも生産されるようになった物もあり、若い女性に大人気のパクチーはその代表と言えるでしょう。
★パクチーってどんな野菜?
日本ではタイ語のパクチーで名称が定着していますが、ハーブとしては英語名のコリアンダーが一般的です。乾燥した種子もコリアンダーと表記されているのがほとんどです。「香菜」と書いて中国名ではシャンツァイ、和名ではこうさいと呼ばれています。下写真のように小さい葉が薄く、柔らかい若葉を利用しますが茎も根も利用できます。
地中海沿岸が起源とされるセリ科の一年草で、3000年以上前からハーブとして使用されていた記述もある程、大変古いハーブの一つです。平安時代の書物に記載があることから、10世紀には中国から日本へ渡来したと思われますが、その強烈な香りが日本人の口には合わず普及しなかったようです。近年のエスニックブームによって需要が高まり、2020年農林水産省の都道府県別生産量調査によると、福岡県、千葉県、茨城県など全国で571トンも生産されています。
★パクチーの香り成分
独特の香りは好き嫌いが分かれますが、東南アジアの料理には欠かせない食材の一つです。香り成分は数種類含まれていますが、代表的なものにリナロールがあります。アロマオイルの中にも含まれる成分で、鎮静作用や抗菌作用などに優れていることから、整腸作用や有害物質を排出するデトックス作用も期待できると言われています。また、根の表面にはドデセナールという香り成分が多く、葉では葉脈の部分に多いことがわかっています。(グラフ①)(図①)香りが好きな方は根の部分まで使うといいですね。
★パクチーの栄養素
栄養の面では、日本食品標準成分表の2020年版(第八訂)で初めて「コリアンダー/葉/生」として分析結果が出ました。同じセリ科のセリと比較してみると、劣る成分もありますが食物繊維やビタミンB1、ビタミンCやE、カリウムやカルシウムなどのミネラルもかなり優秀なのがわかります。生でもりもり食べてください。(表①)
★フレッシュなパクチーの選び方と保存方法
選ぶ時は葉茎がシャキッとしてハリがあり、葉が変色していない物を選んでください。空気に触れて長い時間置いておくとすぐにしおれてしまいますので、素早く調理してシャキシャキ感を感じる内に食べていただきたいです。保存する時は、湿らせたキッチンペーパーなどに包んでポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室へ。3日〜5日間位は日持ちします。
★パクチーのおすすめの食べ方
調理は生葉を利用するならサラダや和え物がいいでしょう。ナン
プラーやごま油を使えば一気にエスニック料理になりますよ。もちろん肉料理や魚料理の付け合わせ、パスタや炒め物にもOKです。種子がスパイスとして利用されるコリアンダーは、比較的柔らかくとても爽やかな香りがします。マリネやスープ、カレーにピッタリです。粉末にしたものはひき肉料理にも合うと思います。ハーブやスパイスも知識があるとお料理のレパートリーもグッと増えますね。
《参考文献》
・身体にやさしい旬の食材「野菜の本」講談社 ・野菜と果物品目ガイド改訂10 版 農経新聞社 ・春夏秋冬おいしいクスリ「旬の野菜の栄養事典」 ・身体を整える野菜事典 日本野菜ソムリエ協会 宝島社 ・花図鑑野菜 草土出版社 ・食材健康大事典 時事通信社
《出典》
・旬の食材百科, 「香菜/シャンサイ/パクチー/コリアンダー」,
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/syansai.htm(2023.4.18)
・macaroni, 「パクチーとは違う?香菜の特徴とおすすめレシピ
10選」,
https://macaro-ni.jp/63552?page=2(2023.4.18)
・DELISH KITCHEN, 「香菜ってどんな野菜?おすすめレシピも一挙ご紹介!」,
https://delishkitchen.tv/articles/442#contents4(2023.4.18)
・S&B, 「香菜(パクチー)名は身体を表す〜香気成分の分布〜」,
https://www.sbfoods.co.jp/company/rd/aroma_taste/aroma/kaori_05/(2023.4.18)
・美しく時を重ねる, 「パクチーの香り成分の効果効能!女性ホルモン力がアップする?」,
https://antiaging50.com/6745.html(2023.4.18)
・アロマオイル効能ガイド, 「リナロールを含む精油」,
https://aroma-guide.net/seibun/linalool.html(2023.4.18)
・VEGEDAY, 「﹇パクチー﹈栄養と選び方、冷蔵&冷凍保存、部位別の使い分け」,
https://www.kagome.co.jp/vegeday/yasai/coriander/(2023.4.18)
・地域の入れ物, 「パクチーの生産量の都道府県ランキング(令和2年)」,
https://region-case.com/rank-r2-product-coriander/(2023.4.18)
【パクチーサラダ】
茹でて裂いたささみ肉とパクチー、赤玉ねぎのスライスをナンプラーとレモン汁で和えます。ちょっと甘味を加えると優しい味に。タンパク質も摂れるのでバランスも良いです。ナッツを加えても美味しそうです。
【ミニトマトのマリネ】
ミニトマトを生で食べるのに飽きてきたらマリネにしてみましょう。かなり日持ちしますし、黒コショウと一緒にコリアンダーも入れると香りが柔らかくなります。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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