★クルミの歴史
クルミは殻が堅く厚いので、そのままの形で化石となり、世界各地で発見されています。アンモナイトやサンヨウチュウの化石のように、地層の年代決定に役立つ生物化石である「標準化石(示準化石)」に指定されています。
古代ペルシャが原産地とされ、紀元前7000年から人類が食用にしていた最古の木の実と呼ばれています。日本でも北海道から九州まで自生し昔から食用にされ、縄文時代の遺跡からも発見されています。DNA鑑定によるとすでに野生種ではなく、栽培されていたことが証明されているそうです。
★クルミの生産量
FAO(国際連合食糧農業機関)による生産量統計の集計結果によると、2019年のクルミ生産量は中国が約56%で世界1位でした。2位のアメリカ・3位のイラン、3ヵ国合わせて世界の生産量の約76%を占めています。
アメリカ・カリフォルニアには1700年代後半にヨーロッパから伝わり、1800年代後半に商業ベースの栽培が始まったとされています。カリフォルニアの太陽の恵みとほどよい寒暖の差、豊かな水脈など、クルミにとって最適な土地として大生産地となりました。1本の木から年間1000個以上も収穫ができ、品種改良も進み、サイズ・食感・色など優れた品種がカリフォルニア産の特長になっています。近年、クルミの様々な健康効果により「スーパーフード」として注目され、2020年アメリカからの輸入量は過去最大になっています。
★日本のクルミ
日本では和クルミと呼ばれるオニグルミやヒメグルミが自生し、こちらも古くから常食されてきました。和クルミの特長は殻が非常に堅く厚みもあり、専用の割り器を使わないと容易に割れませんが、この堅い殻に守られ常温で何年も貯蔵可能です。
写真①を見ていただくと和クルミの小ささがわかると思います
が、洋クルミ1個13〜15gに対し、和クルミは1個約7〜9gしかありません。実も少なく取り出しにくいので金串などでほじくり出していきます。味はとても濃く、口中に残る香ばしさがとても上品で美味しいですが、残念なことに収穫量が少なく手間もかかるので、和クルミはほとんど市場には出回りません。
国内の生産量は青森県と長野県で約97%を占めていますが(グラフ①)、市場に出回っているのはごく僅かで、ほとんどがアメリカからの輸入物(2021年度97.6%)です。長野県では洋クルミのペルシャグルミとカシグルミを交配・改良した、食用部分が大きい信濃グルミが人気です。日本の最古のクルミの化石は、すでに絶滅してしまったオオバタグルミという種類で、最初に発見したのは宮沢賢治だったそうです。学会でも発表し、賢治記念館には発見したオオバタグルミと発表文が展示されているそうです。北上川の川床の地層からは、今でも見つかることがあるとか。岩手県花巻市を訪れる機会がありましたら、この記念館にも立ち寄ってみてください。
次回はクルミが「スーパーフード」といわれる理由を探ってみましょう。
参考文献
・カリフォルニア くるみ協会,「くるみの歴史」,https://www.californiakurumi.jp/walnut/history(2023.2.16)
・くるみ博物館,「くるみについて」, https://www.jpwalnut.co.jp/museum/walnut/index.html(2023.2.16)
・和グルミプロジェクト,「和グルミの旨さはクルミのなかでもNO1」, https://wagurumi.jimdofree.com/%E5%92%8C%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%81%A8%E3%81%AF/(2023.2.16)
・五明紀春監修(2005)「食材健康大事典」 時事通信出版局
・飯塚宗夫・芦澤正和(2003)「新版 食材図典 生鮮食材篇」成瀬 宇平・武田 正倫監修,小学館
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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