前回は、血管の健康のために野菜や果物をある程度摂った方が有効であることや、機能性成分の中には血圧やコレステロールを調整して心疾患などの予防になる成分があることを説明しました。その他にも役立つ情報がありますのでご紹介いたします。
★炭水化物の質を上げる。
炭水化物は糖質を多く含みますので中性脂肪の増加に直結し、摂り過ぎは糖化も進め血管の老化を加速させます。特に精製された白いご飯やパン、うどん、ラーメンなどの摂り過ぎには注意しましょう。おすすめは、玄米や雑穀、全粒粉製品などです。食物繊維が豊富なので白米のように急激に血糖値が上がらず、脂肪にもなりにくいのです。加えてミネラルが豊富で機能性成分も多いので、血管を酸化から守ってくれます。玄米のプチプチとした食感は、自然に咀嚼回数を増やすので、口中の健康にも役立ちます。雑穀を混ぜたご飯も白いご飯と同じように利用できるうえに、おにぎりにすると風味豊かで塩だけでも十分美味しくいただけます。炭水化物がないと満足できないという人も多いので工夫してみましょう。
★塩分の質を上げる。
塩分は摂りすぎると高血圧の元凶になると言われていますが、塩を買うときに袋の成分表示を見たことがありますか?製品によって成分の違いに驚きますよ。一番ポピュラーな精製塩は塩化ナトリウムが99.9%です。これを多量に使い続けていると高血圧になる可能性大です。塩には海塩、岩塩、湖塩がありますが、すべてもとは海水が原料で、その成分にはマグネシウムやカルシウムなどミネラルが豊富に含まれています。それも人間の組成と大変似ていると言われています。精製塩はそれらのミネラル分が排除されているのです。減塩も大切ですが、まず天然塩に替えてみましょう。少々値段は高いですが、うま味成分も入っていて美味しいと感じると思います。キュウリの塩もみや塩むすびにするとよくわかります。
★血液サラサラ成分を摂る。
血中に中性脂肪や糖質、塩分などが過剰になると血液はドロドロになり、血流が滞ったり固まりが形成されたりなど、血管が詰まる原因になります。これは、循環器系の疾患すべてに影響を与えます。血液サラサラ食材といえば前回ご紹介したタマネギ、そして納豆、海藻類です。
納豆には大豆を発酵させる時に発酵過程で様々な成分が生まれますが、その中の「ナットウキナーゼ」という酵素には強い血栓溶解作用や血圧低下効果があるとわかっています。(図①)熱に弱いと言われているので、加熱せずに食べてください。また、血栓は深夜から早朝にできやすいので夕食に食べるのが効果的のようです。
海藻の摂取頻度が高い人は虚血性心疾患の発症リスクが低いことがわかりました。国立がん研究センターなどが日本人8万6000人を対象に約20年間追跡調査した疫学的調査の結果です。海藻は食物繊維が豊富で高血圧予防に効果があると言われるカリウム、タンパク質などが含まれています。研究では男女を、海藻を「ほとんど食べない」から「毎日食べる」の4グループに分けたところ、「毎日食べる」グループは男性で24%、女性で44%虚血性心疾患の発症リスクが低いことがわかりました。海藻に含まれる食物繊維による血液中の脂質改善効果やタンパク質の血圧降下作用が理由と分析されています。(グラフ①)その他にもお酢やキノコ、豆類など積極的に取り入れましょう。(写真①)
★良質のタンパク質を摂る。
タンパク質は体を構成する成分ですので、血管ももちろんタンパク質が必要です。また、血圧や循環器系すべてのコントロールをしている脳にもタンパク質は必要です。タンパク質は、様々な食材から摂取することができます。肉の他にも動物性でしたら魚介類・卵・乳製品、植物性でしたら豆類・穀類などでも摂取できます。タンパク質が不足すると筋肉が減り、ブドウ糖の消費が減って血糖値が上がる原因にもなります。また、約6年間1万2200人を対象に行われた中国健康栄養調査の中で、毎日の食事を調査したところ、タンパク質の供給源が最も多様なグループは、最も画一なグループに比較して高血圧を発症するリスクが66%も減少したと発表しています。日本人は近年、慢性的にタンパク質不足と言われていますので、肉類だけではなく、意識して様々な食材からタンパク質を摂りましょう。肉類の中でも、高タンパクで低脂肪の鶏肉とビタミンB群も含む豚肉がおすすめです。(写真②③)
血管の老化は循環器系の病気のリスクを上げるだけでなく、体の疲れや肌のハリ・ツヤなど見た目にも影響します。循環器系の病気の初期は、ほとんど自覚症状がないそうです。年齢に関係なく予防に努めましょう。
(参考)「日経Goody30+」HP、「日本ナットウキナーゼ協会」HP、白澤卓二(2015)・『100歳まで血管がサビない109のレシピ(新装版)』・マガジンハウス、「糖尿病ネットワーク」HP
【写真①】納豆+もずく酢
血液サラサラ成分の「ナットウキナーゼ」ともずくにお酢の最強トリオ。納豆にお酢を混ぜるとフワフワになってネバネバも解消されます。
【写真②】鶏ムネ肉の青大豆入りトマトソース
鶏胸肉に含まれる「カルノシン」は老化防止の成分で有名です。ビタミンBが豊富な豆と万能なトマトソースで、いつもの味ながらいくらでも食べられる一品。
【写真③】豚ヒレ肉のタマネギおろしソース
いつも豚カツになってしまうヒレ肉も、たまにはおしゃれに手作りソースで。おろし生姜を足しても美味しい。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
\#ならでわ 11月号発刊/
— 月刊ならでわ!@長崎県北・佐世保のグルメ情報誌 (@nyan_naradewa) November 1, 2024
表紙は“じげもん”グルメ★佐世保・県北のことがもっと好きになる5品が登場グルメや美容情報・年末に向けたおせち、ハウスメンテナンスなど内容盛りだくさんでお届けします #佐世保スイーツ #佐世保観光 #佐世保おでかけ
詳しくはコチラ➡️https://t.co/Gv6LGNpv6S pic.twitter.com/JpIgo4ZDNj