★栄養素がうつ病の予防や症状改善の助けに!!
最近の研究では「食生活・食事・栄養素」と「精神疾患」の間には関係性があることがわかってきました。日本ではまだ十分に浸透しているとは言えないようですが、海外では特にうつ病に対する新しいアプローチとして注目されつつあるといいます。食事から摂った栄養がどのようにうつ病に影響するのか、すべてが明確にわかっているわけではないのですが、近年の研究成果によりうつ病の予防や症状改善の助けになるような栄養素がわかってきました。今回は、関係が深い栄養素をいくつかご紹介していきます。
■トリプトファン
必須アミノ酸の一つでタンパク質を構成する材料となる他、神経伝達物質のセロトニンや睡眠を誘発するメラトニンの原料にもなります。「幸福ホルモン」と呼ばれているセロトニンは、心のバランスを安定させ自律神経を整える働きがあります。特に女性の場合、女性ホルモンのエストロゲンがセロトニンの分泌に関係していることから、更年期から閉経期になると何となく不安感を感じたり鬱々とした気分になったりしやすいのです。必須アミノ酸を含む主原料のタンパク質不足には注意しなければなりません。
トリプトファン含有量が比較的多い食品を調べてみました。(表①)動物性の食品の方が効率よく摂れることがわかりますね。マグロのお刺身や鮭、納豆、大豆製品など和食の食材は優等生ですね。(写真①②)また、ナッツやごまなどの種実類や、表にはありませんが、バナナや抹茶、ピュアココアなども工夫して摂ってほしい食材です。(写真③)
■葉酸
うつ病の治療や予防に葉酸が有効であることは、疫学研究や治療研究から明らかにされつつあるようです。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の研究では、うつ病の4人に1人が血液中の葉酸値が低いという結果から、抗うつ剤に葉酸をプラスして10週間投与したところ、うつ症状のスコアが明らかに低下していたという結果が出ました。(グラフ①)
葉酸は、DNAの合成やタンパク質の合成に深く関与するので、これから妊娠の可能性のある女性には特に摂ってほしい栄養素の一つです。緑黄色野菜やレバー、納豆などに多く含まれるビタミンですが、これからでしたら枝豆やモロヘイヤなどもオススメです。繊維質も摂取できるので腸内環境を整えることも期待できます。(写真④)
■鉄
赤血球中のヘモグロビンは、肺から全身へ酸素を送るという重要な働きがあり、鉄とタンパク質から作られています。ですから、鉄不足は貧血に直結します。それだけでなく、トリプトファンから酵素の働きによってセロトニンを作りますが、その時に葉酸と鉄は補助的な手助けをしてくれます。(図①)
吸収されにくい栄養素と言われ、動物性の「ヘム鉄」と植物性の「非ヘム鉄」があります。動物性の方が吸収率は5〜6倍良いと言われています。レバーに多く含まれますが、赤身の肉や海藻、ハーブなどにも含まれますので小まめに摂取しましょう。
■マグネシウム
現代日本人には慢性的な摂取不足と言われている栄養素です。DNAやタンパク質の合成、骨の形成やエネルギー産生などに必要なミネラルで、300以上の生体反応に関係したオールマイティーな働きをします。
セロトニンからメラトニンを生成するときにも必要です。(図①)メラトニンは、体内時計と環境光から刺激を受けて生体リズムを調節し、夜間に眠りに導く働きがあり「睡眠ホルモン」と呼ばれています。夜間の眠りに関係してきますので、朝起きたら日光を浴びる事を忘れないでくださいね。
海藻類などの海産物、香辛料類、ゴマや種実類、雑穀類などに多く含まれますが、一度にたくさん食べられる物ばかりではないので、毎食のメニューの中に小まめに取り入れてみてください。
★バランスの良い食事を心がけよう♪
脳内伝達物質は、セロトニンやメラトニンだけではありません。その過程も考えると、代謝には欠かせないビタミンB群やビタミンC、ビタミンD、亜鉛、n-3系脂肪酸など多くの栄養素が必要になります。脳の健康のためにタンパク質を中心に片寄らない食事がいかに大切かわかっていただけたかと思います。
ストレスと上手に付き合い、心身ともに健康的な生活を送るためには生活習慣を整える必要があります。会社への出勤があれば一定のライフサイクルができていましたが、在宅勤務が日常になり運動不足をはじめとしたコミュニケーション不足、睡眠と覚醒の乱れ、中には太ってしまったという人も多いでしょう。ご自分の生活を見直し食生活習慣を含め、健全な方向に修正してみましょう。
【参考】功刀 浩/著「こころに効く精神栄養学」
[写真1]アジの塩焼きと揚げ出し豆腐
アミノ酸スコア100のアジと近年アミノ酸スコアが100と言われている豆腐をおかずにすれば、お米に不足しているアミノ酸も補充できます。典型的な和食は脳の健康に効果がありそうです。
[写真2]カツオのなまり節と新タマネギのサラダ
トリプトファンが豊富なカツオと新タマネギは、水にさらさずに生で食べられるので、抗酸化作用がある硫化アリルやケルセチンも摂取できます。またタマネギのオリゴ糖は、整腸作用も期待できます。
[写真3]バナナヨーグルトと黒豆ナッツ
バナナはトリプトファンとビタミンB6(タンパク質の合成に関わる)が豊富です。黒豆のポリフェノールやナッツのミネラル、ヨーグルトの整腸作用など、身体を目覚めさせてくれる朝食にピッタリのメニューです。
[写真4]春菊と炒り卵の納豆和え
葉酸がたっぷりの春菊を湯がいて刻み、炒り卵とひきわり納豆で和えます。タレにごま油を少し足すとコクが出て匂いも和らぎます。卵はアミノ酸スコア100で、納豆にも葉酸が含まれます。
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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