★昔の日本は雑穀が主食の代わり
全粒穀類の中には「雑穀」も入ります。「雑穀」とは、主食以外に利用される穀物の総称を指すことが多いのですが、日本は米が主食になる時代まで「五穀(アワ、キビ、ヒエ、麦、豆)」と呼ばれる穀類を、主食の代わりに食べていた歴史があります。米はある一部の上流階級の主食だったようです。現代でも白米以外に利用している雑穀は様々な種類があります。代表的なものをご紹介していきましょう。
【アワ(イネ科)】
ユーラシア大陸全域で古くから栽培され、東西に伝播された。小粒で、もち種とうるち種があり、キビと似ている。日本では粒のまま利用したり、餅にしたり酒の醸造にも利用される。必須アミノ酸の一つロイシンを多く含み、筋肉強化や肝機能の向上などが期待される。(写真①)
【キビ(イネ科)】
アワ同様、ユーラシア大陸の温帯地域で古くから栽培され、生育期間が2〜3ヵ月と短く、備蓄穀物として重要な作物だった。アワよりもやや大粒で黄色く、もち種とうるち種があり、現在はもち種の栽培が多い。雑穀の中では特に食味が良いので、炊飯や雑炊、お粥、餅や団子など伝統的な料理にも利用されている。必須アミノ酸を含み消化が良いので病後の食事にもおすすめ。
【ヒエ(イネ科)】
東アジアで多く栽培され、昔の日本では、稲が栽培できない山間地の農地や寒冷地で主食用穀類として重要であった。外皮が固いので長期貯蔵に耐えるが、精白に手間がかかる。うるち種のみで粘り気がないので、精白粒はそのまま米と一緒に炊いたり粉にしたりして団子やお焼きにする。アワと同様ロイシンが多い。(写真②)
【ソバ(タデ科)】
原産地は中国だが、日本でも奈良時代からそば飯やお粥にして食べていた。比較的やせた土地でも丈夫に育ち、わずか50日〜70日で収穫できることから夏ソバ、秋ソバ、中間型がある。近年の国内の主な用途はそば用で、特に秋ソバは風味豊かで香りもよく新蕎麦として人気がある。ソバ殻を除いたソバ米はスープ、雑炊、お粥に利用される。中東やヨーロッパでもソバ粉は菓子やパンケーキ、クレープなど風味を楽しむ焼き菓子に利用されている。特に殻に多いルチンというポリフェノールは、毛細血管を強化し、血糖値や血中コレステロールを下げるなどの働きがあり注目されている。ルチンは水溶性なので蕎麦湯も飲むと良い。
【アマランサス(ヒユ科)】
中南米原産で約2mにもなる背の高い植物。先端に咲く深紅や黄金色のふさふさした花の中に穀粒がある。植物学的に正確には穀類ではないが、何千年もの間ネイティブアメリカンはこれを穀物のように摂取してきた。
日本では東北地方を中心に主にもち種を栽培している。精白しなくても利用でき、炊く・茹でるなどして他の食材と混ぜ、お粥のようにしたりフライパンで煎ってポップコーンのようにしたりもできる。アマランサスには、動物性タンパク質に多いリジンという必須アミノ酸が含まれ、体のタンパク質の組み立てに欠かせない栄養素で、肝機能強化も期待される。近年では栄養豊富な葉も食されている。
【キヌア(アカザ科)】
アマランサス同様に南米で数千年も前から栽培されていた。不良土壌にも適応力があるためインカ帝国でも広く栽培され、神聖な食べ物とされていたという。近年、優れた栄養価から「次世代の主食」として米国のNASAが注目し話題にもなった。特にタンパク質が豊富で、その他にも高血圧予防に役立つカリウムやカルシウム、血流の調整をするマグネシウムも多く含む。また数種類のビタミンB群も含み優秀食材と言える。調理は15分ほど茹でてからサラダのトッピングにしたり、炒め物や和え物に混ぜたりしてツブツブ食感を楽しめる。近年、需要が伸び市場価格も上昇している。日本でも南米産のキヌアが大半である。(写真③)
参考文献:「食材図典」小学館、「食材健康大辞典」時事通信社
★雑穀はタンパク質&食物繊維
6種類の雑穀を紹介してみましたが、雑穀類と精白米の栄養比較の表をご覧ください。(表①)
雑穀類の食物繊維は、精白米と比べるとほとんどが7倍以上、精白していないものは12倍以上の含有量です。全粒穀類が疾病リスクを抑制してくれる要因の一つとして挙げられるのが食物繊維なのですが(グラフ①)、この65年余りの間に穀物由来の食物繊維は7割も減少している事がわかっています。
また、体内の各組織作りに欠かせないタンパク質は約2倍、カリウムやマグネシウムの含有量も精白米より桁が一つ違うのがおわかりだと思います。今までにご紹介した玄米などと同様に、もう一度全粒穀類の力を生活に取り入れてみませんか。
「古代米」も雑穀に入ります。黒米、赤米、緑米とありますが、イネの原種である野生稲の特徴を受け継いでいる米の事を言います。それぞれの種皮の部分に色素を持ち、アントシアン色素を含むと黒米になり、タンニン系の色素を含むと赤米になり、クロロフィルという緑黄色野菜に含まれる色素を含むと緑米になります。収穫量が少ないのでなかなか手に入りにくいかもしれませんが、特に黒米は抗酸化作用に優れていると注目されています。こちらもぜひ試してみてください。(写真④⑤)
文/野菜ソムリエ上級プロ 福田ひろみさん(東京在住)
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